「えっ!Blues経営学?〜No.9 Cedell Davis〜障がいとBLUES その2」

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1989年にミシシッピーに行って以来、Mlssissippi Delta Bluesの魅力とりつかれた私は、写真とは別の3万円のリゾネーターギターを買い、より現地の雰囲気で音を出したいと思い、音の抜けの良い玄関先でスライドギターを練習するようになります。

その頃は高齢のブルーズマンもまだ元気で、限られた人たちですが、CDでもliving Blues(=生きているブルーズ)を楽しむことができた最後の時代と言えたかもしれません。

丁度その頃「Hot Possum Record」というレーベルのCDを目にするようになりました。「Hot possum」とはスラングで「南部のブルーズの熱いノリ」のことだそうです。そのレーベルには敬愛するR.L.バーンサイドの他、今回取り上げるセデル・デイビスの名前もありました。他のレーベルの録音で既にデイビスのハチャメチャな「ナイフ・スライド」と呼ばれる ナイフをギターの弦の上に置き滑らせて音程を変える演奏を聴いたことがありました。それは上手とは言い難く、確か「Hot Possum」のCDのキャッチコピーも「Broken Blues(壊れたブルーズ)」で、それは正に壊れていると感じました。

しかし後になって彼のエピソードを聞きイメージは一転します。

セデル・デイビスは、子どものころポリオ(小児麻痺)を患い、両脚に障害が残りました。そのため歩行が困難になり、生涯にわたって杖や車椅子を使用していました。更に不幸なことに演奏をしていたジュークジョイント(アメリカ南部のライブ付き安酒場)で暴動に巻き込まれ、大怪我を足に追い、その後車椅子生活を余儀なくされます。それから確立されたのが「ナイフスライド」のようです。指が不自由で弦を押さえられなくても、ナイフで指の代わりに弦を押さえることができたと推察されます。貴重なハイスクールでの講義?映像が残されています。

彼の人生や不運を想像しながら聴くのがおすすめです。音程の不安定さはやがて「Bad Luck」や「Trouble」を乗り越えた証のように聴こえてきます。障がいに負けずにそれを乗り越えたスタイルを築き上げたデイビス。

会社経営や組織の運営もうまくいくときばかりではない、むしろトラブル続きですが、それを乗り越えても音程を保つ努力、時にはワイルドに音程を外しながらも良い音を保ちたいものです。

おわり

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