第2部 : 講演
テーマ 「プラスチックごみ問題の現状」
まず最初は公益財団法人かながわ海岸美化財団の柱本健司氏から「神奈川の海岸ごみの実態」と題して講演。 (トップの写真は柱本氏の投影資料から引用、神奈川県内の砂浜の様子)
かながわ海岸美化財団は海岸美化専門に清掃している日本で唯一の団体。横須賀市から湯河原町まで150kmの海岸を通年清掃している。
トップの写真で示したように、神奈川県の海岸に打ち上げられるごみの特徴は木屑とプラスチックごみなどが混ざり合っていること。
一方で神奈川県内の砂浜でもウミガメの産卵があり、今年の確認だけでも4ヶ所確認できているそうだ。年間の海岸ごみ量の推移は毎年2,000t程度。20年間変化はないそうだ。
神奈川県の四大海岸ごみは川との関わりが深い。海岸ごみの多い場所は海に繋がり流れ込む4大河川と一致している。
江の島のごみのデータ。
江の島は海岸延長1km、面積3㎢、一方で境川は延長52km、面積211㎢。
海岸ごみ180トンのうち127トンは川から来ている。
よって海岸のごみは海岸線で考えるのではなく、陸域全体で考えなければならない問題。
町田から30キロ離れた江ノ島へごみが流れことを想像できる人はあまりいない。まとめとして以下のスライドを。
続いて「海洋プラスチック問題への取組み」 日本プラスチック工業連盟専務理事の岸村小太郎氏のお話、そして神奈川県環境科学センター調査研究部長の池貝隆宏氏の「相模湾沿岸に漂着するマイクロプラスチック」の講演と続いた。
こちらに関係する資料があったので載せておく。→「相模湾沿岸に漂着するマイクロプラスティック」
特に興味深かったのがマイクロプラスティックの分析結果だ。それぞれタイプが分かれ、それを分析していくことで様々な原因が浮き彫りにされた。
まずは微小ポリスチレン小球
これはビーズクッションなどに使われているもので、枕ひとつに50万個もの小球が入っているという。これが廃棄される際にこぼれだし、海へと流れついているという。
そしてこれも衝撃的な話だったが、農業用肥料に使われる被膜殻というものが流れ出し、海に辿り着いてしまう。
こちらは玄関マットや人工芝の突起物の流出
そしてこちらも大きな問題と感じたが、プラスチック製品の材料に使われる樹脂ペレット。
これが輸送過程や積み替え等で漏出するというのだ。一体工場からどれくらいの漏出があるのか疑問に思う。
そしてもう一つの驚きはストローの問題。
スターバックスを始めとする有名企業がストローの使用廃止を決めたとニュースで話題になっているが、調査の結果、採取したマイクロプラスチック全体の0.1%しかなかったという結果。
これはどのように考えたらよいのだろうか。甚だ疑問に思った。ストローを製造している企業にとって現在の状況は深刻であろう。
そして最後に【特別講演】として東京理科大学理工学部土木工学科水理研究室教授の二瓶泰雄氏より「市街地と河川のマイクロプラスチック汚染」をテーマにお話があった。
全国の河川で行った調査結果を例に挙げ、説明された。
沖縄では上流に民家がない河川でもマイクロプラスチックが検出された例など、汚染がないと考えられる地域においても影響が出ていることに驚いた。
今回全ての講演を通じて新たな発見があった。
正しい判断を行うためには、正しい調査やその調査結果に基づき判断し行動しなければならない。
当たり前のことだが改めて痛感した次第だ。
どのようにして海から遠く離れた市街地や河川流域からのごみの流入を防ぐことができるのか?
そしてあらゆる材料や製品からの流出を食い止めるのか。わからないことも多く、課題はまだまだ大きいが、叡智を集め解決していかなければならない。
おわり
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