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気になる!大川メンバー

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2020.06.01

時が過ぎるのは遅いようで早い。

入社直後、テレワークに切り替わり、はや2か月が経とうとしている。

新聞やテレビで見聞きする限り、世間ではコロナ離婚からコロナ反抗期まで、新型ウイルスが招いた弊害と、新たに生み出された生活スタイルが入り乱れながらも、私たちの日常を否応なく構築していく様が感じられる。

「テレワーク 家ではかどる 妻しぶる」

数年前、こんなサラリーマン川柳を新聞記事で見かけたことを思い出す。当時の人々の多くは、わずか数年後のうちに、これほどの規模でテレワークがニューノーマルになるとは想像さえしていなかっただろう。

ところで、私の家ではテレワークという働き方ゆえか、ちょっとしたブームが沸き起こっている。

テレワークあるある?なのか、自分の働き先の会社に、妙に家族が詳しいという事態が発生しているのだ。

テレワークを始めるにあたり私は、自分の部屋を片づけて仕事仕様に整えたのだが残念なことに、wi-fiが設置されている場所から一番遠く、ネット接続が不安定なことが判明した。それゆえ、リビングでのテレワークを余儀なくされるという事態が発生。

すると、想像に難くないだろうが、私の職場環境は当然一人ではなく相席となった。

リビングテーブルで作業する私の向かいの席では、休日を優雅に過ごす母が新聞を読んでいたり、食事をとったり、愛猫と戯れていたりする構図が生まれている。

そんな環境の中で、私は大川印刷恒例の“朝礼”に参加するようになった。

そして、朝礼の様子や内容が、向かいの席に座る母の耳に入ってしまうようになった。

そんな日々が続き、はじめは新聞や食事に集中していた母が、気づけば“朝礼観戦者”と化していた。

 

あるとき、“夕礼”で社長がこんな発言をしたことがあった。

「ちょっと伊東サブリーダー、チャット見てる?社長の話聞き流してたら、逆パワハラになっちゃうよ」

すると、その発言を聴いた母がすかさず言った。

「社長の話聞き流して逆パワハラしてる人いるの!?誰々?」

「伊東サブリーダーって人」

私は音声をミュートにして、手短に母に教えた。

数分後、

「松田聖子ね~。世代感じるわ~」と母。

何を言っているのかと思えば、会社HPのメンバー紹介ページから、伊東サブリーダーが推薦する、“背中を押してくれる曲”をチェックしていたらしい。

 

 

またあるときは、“昼礼”で社長がこんな呼びかけをした。

「いつも常務に任せてないで、他の人も昼礼の司会やりましょう」

すると、案の定母が言った。

「常務ってよく登場するよね。どなた?」

「菊地常務っていう、工場長の方」

私は音声をミュートにして、手短に母に教えた。

数分後、

「ずいぶんと、まん丸としたお顔の方ね」

またもや、メンバー紹介ページを見て確認していたらしい。ミュートだからいいけど、本人に聞こえていたらだいぶ失礼だよ!と心の中で突っ込んでおいた。

 

ちなみに、大川印刷の一日は、朝礼に始まり、昼礼に引継ぎ、夕礼に終わる。それだけ話していれば、母が気になってしまうのも無理はないのかもしれない。

そんなこんなで、大川印刷の「サブリーダー」「常務」という呼称を気に入った母が、家でも大川印刷ごっこを始めた。その名も、くるみサブリーダー(写真下:メス猫)に、きくち常務ならぬ、きはち常務(写真上:オス猫)だ。

本物と異なり、だいぶやかましいサブリーダーと、だいぶ甘えん坊でお昼寝好きな常務だが。

ちなみに、母が一番気になる大川印刷の推しメンは“コミネサン”らしい。

「密着系のテレビに出てくる容疑者の声まね」という自己紹介の特技欄を一目見て、気に入ったようだ。

「この人、絶対に面白いよ!コミネサンいいねえ~」

あなたはプロデューサーですかい!と思わず母に突っ込みを入れた(今度は声に出して)。

 

今日なんて、企画営業部・梶原リーダーのバーチャル背景がシウマイづくしになっているのを一目見て、社長が

「シウマイリーダーどうしました?」

と一言。

母がいたら絶対に突っ込んでくると思ったが、そのときはタイミング悪く、ベランダでヨガをしていたようだ。残念。

 

こうして今や、私がテレワークをする傍ら、Zoomから聞こえてくる“メンバー”を、母がその場で調べるというお決まりの流れが定着しつつある。

「さやかはいつメンバーに入れるの?写真撮影のときは、やっぱり決めポーズで斜め上見るのかな?(笑)」

自分の娘がいつも見ているメンバー紹介欄に仲間入りを果たす日が、さぞかし待ち遠しいのだろう。

私も自分の名刺然り、大川印刷トレードマークの黒バック背景でかっこよく決めてみる日を心待ちにしている。

 

新型コロナで、否応なく変革を迫られている私たちの働き方。どこまでがプライベートで、どこまでが仕事なのか。曖昧な境界線が生む課題と共に、会社のカラーによっては、テレワークならではの魅力発信が思わぬところで実現されているのかもしれない。

「テレワーク 居間で中継 母観戦」

サラリーマン川柳のできあがり。

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