2020年11月18日、気候非常事態ネットワーク(CEN=Climate Emergency Network)が正式に発足しました!
帝国ホテルにて設立総会が開催され、パダワン宮﨑も設立発起人として出席してきました。当日の様子をレポートいたします。
CENとは「気候非常事態宣言とカーボンニュートラル社会づくり支援ネットワーク」の略称です。
地球温暖化がこのまま進めば、熱波、干ばつ、森林火災、洪水、巨大暴風雨など、様々な自然災害により今後50年間に世界中で数十億人が環境難民となってしまうとも言われています。
CENの活動は、この事態に対する危機感を様々な企業、自治体、大学、団体、個人などと共有し、連携して二酸化炭素排出実質ゼロ(カーボンニュートラル)の社会を実現するための挑戦です。
発起人には、梶田隆章氏(日本学術会議会長、ノーベル物理学賞)、山形俊男氏(東大名誉教授)、小林喜光氏(三菱ケミカルホールディングス会長)、日覺昭廣氏(東レ社長)など錚々たる方々がおられます。
(NPO法人ゼリ・ジャパンHPより)
パダワン宮﨑は、東京大学名誉教授の山本良一先生からご依頼をいただき、大川印刷従業員・Fridays For Future Tokyo元オーガナイザーとして、設立発起人に名を連ねさせて頂きました。大川社長も同じく発起人で、大川印刷は協賛企業にもなっています。
私は去年、FFFTで活動していた際に、気候非常事態宣言を求める請願書を東京都議会に提出する動きを先導していました。
当時8月時点では、宣言を行っている自治体がゼロという状態で、東京都が宣言を出すことで気候変動対策が加速すると考え、当時唯一声明を発表していた環境経営学会に電話をかけたことから、全ては始まりました。都議会に何度も足を運び対話を重ねたり、セミナーを開催したり、新宿駅や東京駅で署名を集めるなどをしてきました。
そんな気候非常事態宣言も今や、40を超える自治体が宣言しているそうです。
会場では、日本ではじめて宣言を出した長崎県壱岐市の白川博一市長にもご挨拶しました(今年の2月に壱岐市を訪問してお会いしていたのですが、なかなか思い出してもらえず、プチショックでした。。。)
東京都知事の小池百合子さんも登場し、小泉環境大臣からはビデオメッセージがありました。
いろんな有識者からのお話がありましたが、私が一番ビビッときたのは、環境ジャーナリストでCENネットワーク副委員長の枝廣淳子さんのメッセージでした。
「気候危機の時代を生きるーグレタの思いに応えて」というタイトルでお話がありました。
まず冒頭、あるメッセージが紹介されました。
これは、地球温暖化問題に関する懇談会の最終的な提言の最後のページからとったものだそうです。
2050年までに60~80%削減しようと決めたときの最後のメッセージで委員の有志である枝廣さんと末吉さんが中心になって作られたそうです。
これがいつかというと、2008年のことだそうで、なんと12年前!
「この12年間、私たちは何をやってきたのでしょう。あのときにもやるべきことはわかっていた。やらなければならないことも。でもこのメッセージが今でも通用するものになってしまっている。12年後にまた同じ思いをしたくない。温暖化の脅威は消散していると12年前に書いたけれど、なかなかそういう状況ではない。若い世代に未来世代に安心して地球を引き渡せる安堵感を私たちが持てているとは言い難い。温暖化はまってくれない」
「~すべきだ、ここまでいくべきだ、そういったことを語り合うのではなく、そのためにどうしたらいいのか、そしてまだ気がついていない人々、自治体、企業、にどう働きかけをして仲間を増やしていくことができるのか、具体的にアクションをとっていくネットワークであってほしい」
はじまりから引き込まれました。
枝廣さんが代表を務められている有限会社イーズ様の「イーズ未来共創フォーラム」では、気候非常事態宣言都市・自治体をプロットしているページがあります。
こちらから。
このページには、私が先導をしたものの、「継続審議」となっているFFF Tokyoの請願も掲載頂いています。
「請願を出しても宣言してくれない自治体も多い。でもやっている人たちは一生懸命で、そういう人も応援していきたい」とのコメントに励まされました。
「大事なことは宣言することではなくて、それはスタートであってゴールではない。宣言した内容がどうなのか、そしてそれが実現に向かっていくのか、そこをしっかり見る必要がある。旗を立てるだけでは何も変わらない。サイトでは、内容の比較をしている。何に言及しているか、本当に道筋があるか、そこを見ていかないとなんちゃっての宣言だけが増えても日本は変わらない。本当に実効性のある宣言につながるように、応援していっていただきたい」と。
まさに!
後半、「気候変動の日本での受け止め方がちょっと海外と違う」懸念について言及されていました。
まず、「気候変動をどれくらい心配しているか」。
世界と比べると日本の心配度合いが低い。「ヒリヒリとすぐになんとかしないといけないという、危機感・問題意識を持っている人が少ない」とのこと。
一番ショックだったのは、「あなたにとって気候変動政策とはどのようなものですか」という設問に対する答えだそうで、
日本では多くの方が「生活の質を脅かす」ものだと答え、我慢、不便を強いられるものだと感じている人が多いが海外では、逆の結果が出ている。
「日本では頑張らねば、一部の心ある人だけがやっているという、そういう形の運動になっている。そうではなくて、私たちのライフスタイルをより豊かにするものだという動きに、していくべき。メディア含め、みなさんが気候変動をどういう話し方で語るのか、そのあたりがこういう結果をもたらしている」とのことでした。
そして、「第一義的に誰が気候変動に立ち向かう責任をもつべきか」。
「世界では市民・NPO・NGOという答えがあるが、日本では少なく、政府や企業がやることだと思っている人が多い、我が事化できていない。もちろん、政府や企業がやることはたくさんある。だけど、それに任して自分たちはお客様ではなくて、やはり市民も役割がある。私たちがどのような生活をするかが影響している。関わり、つながりを感じて自分の行動を変え、まわりに呼びかけていくことが市民の役割だと思ってほしい」と。これもtotally agreeでした。
「若者の動きが見えにくい」と海外から言われるそうです。
実際、その場の、だだっ広い空間を見渡してみると、若者に数えられる人は私含め2〜3人くらいしかいませんでした。
これはいかん!
2030年、2050年、節目を担い生きるのは、私たち世代であるはずなのに、まるで主役の席がぽっかり空いているような、メインキャストが見当たらない光景に、課題を感じました。
現在、枝廣さんは、熱海に移住して活動されているそうです。
「政府の委員会で方向性を決めるとかそれもすごい大事な役割だけれど、実際に物事が代わるのは「現場」です。地元なんです」。
物事を決める立場の層と、現場での乖離から生じる問題を私もアルバイト先などで見てきたので、強く頷きました、
「地元に閉じこもるローカルローカルではなくて、地元に足場をもちつつ、日本全国そして世界につながるローカルグローバル、そんな人種の一人として活動していこうと思っています」。私もそんなふうに活動したいです。
最後に、『世界がもし100人の村だったら』の作者、ドネラ・メドウズさんの言葉が紹介されました。
持続可能性のために闘っている人たち、のために大切なことは、以下の5つだそうです。
①ビジョンを描く事。目の前のことに忙殺されない、何を目指しての行動なのか思い出す。
②学ぶこと。温暖化の科学、他国の動き、技術的可能性、やはり学ばないといけない。
③ネットワークをつくること。1人では拡がりを作れない。自分だけでは足りないことをお互いに補い合って、より大きなムーブメントを作り出す。
こういう活動してると、社会や組織ではハズレ者になってしまう。主流派ではない。今はだいぶ主流になってきているけれど、うまくいかない、理解してもらえないことが多々ある。そういうときに同じような苦労してる人がいたらお互いに支え合うことができる。
④真実を語ること。世の中では真実ではないことがたくさん言われています。言いやすいこと、都合が悪くならないこと、不都合な真実は言わないということになりがち。しかし、しっかり真実を語っていくことが大事。特に、子供や若者に対して語ること。
⑤愛すること、慈しむこと。未来世代を大切にすることもそうですし、目に見えない生きとし生けるもの全てを大切にするということもそう。だけれど、これまで石炭を掘って私たちの経済を支えてきてくれた人たちもいる。そういう人たちを敵にするんじゃなくて、そういう人たちのあり方も大切にすること。
「こういったことを大切にしつつ、しかし、容赦しちゃいけないことは容赦せずに、ブルドーザーのようにばりばりと進みながら、日本と世界を変えていけたらと思います」
このメッセージは、まさに肝要なものだと思いました。
私は去年、FFFメインで活動してきましたが、それ以前には立教大学の職員や学生に働きかけたり、アルバイト先ではビジョンと現場のギャップに直面し、それを変えるべく様々な人に働きかけを行ってきました。気候非常事態宣言の請願書をめぐっても、いろんな意見を持つ方々に出会い、揺さぶられてきました。
その過程を振り返ってみても、真実を語り愛することほど、こうした活動に根ざすべきものはないと感じさせれられました。
とにかく、これからやりたいこと、やるべきことが次から次へと、たくさん浮かんできた会でした!
閉会後、原科学長と写真を撮っていたら、NPO法人ゼリ・ジャパン特別顧問のグンター・パウリ氏もカメラに映ってきてくれて、サイン本まで頂きました!
これはレア!「レース・フォー・ウォーター号乗ったよ!」となけなしの英語で伝えると、笑みを見せてくれました。
山本先生ともパチリ。
気候非常事態ネットワーク、パンフレットはこちら。
(ぜひ、環境印刷で刷ってもらいたいぜ。)
*参考
4月に発売された『BIOCITY』は気候非常事態宣言特集が組まれ、山本先生や、環境経営学会の後藤先生と共に、私は「誰がなんと言おうと、私たちは声をあげ続ける」というタイトルで寄稿させて頂いております。ぜひご参照ください。