今年2021年11月、創業140周年を迎えたことを記念して、来年の141周年を迎える前日まで徹底的にいろんなイベントを仕掛けていこうという、創業140周年記念プロジェクト。
第1弾が12月16日、オンラインにて社内的に行われた
これはお取引先でもある「和える」さんの企画、「和える矢島里佳社長を1日0円~お貸ししますキャンペーン!」を活用させて頂くことで成立したいまだかつてない企画。
和えるさんについて
大川印刷の手掛ける和えるさんのお仕事について
和えるさんのこの企画は、企業の持つ伝統を紐解き、課題を明確にし、次世代へのつなぎ方をともに策定するaeru brandingを1日0円~お試しできる、というもの。お金にまつわる常識に縛られることで生じている不自由さから解放されると何が起こるか、「仕事とお金」について考える取り組みでもある。(2020年スタート)
この企画に弊社は申し込み、矢島社長を「お借り」した。
応募内容は以下のようなものだった。
今年創立140周年の弊社と、「伝統を次世代に引き継ぐ」ことをうたわれ、同じく今年創立10周年をむかえた和える様が節目の年に、「伝統」「つなぐ」をキーワードに語り合える機会を設ける。社長の大川や「ものづくり」に携わる従業員との対談や、弊社にご注文をいただいている印刷物に関するエピソードも教えていただきたい。
そして矢島社長の考え方、ポジティブな働き方について学び自分がどう仕事を楽しくしていくのか 考える場づくりにする。自分達もできるようにしようというのが目的とされた。
企画に携わった一人、入社一年目の女子社員さんは「ただ矢島社長のお話を聞いて、インプットして終わりにしない。このイベントで得たことを自分の中でしっかり腹落ちさせて、行動に移していく。」と伝えてくれた。
「伝統」「つなぐ」をキーワードに語り合う
まずは矢島社長から自己紹介。大学4年の時に起業したこと、「変わらない」のが自分の特徴であること、その想いや10年経った今考えていることなどお話された。
そして次に私から和えるさんとの出会いから、そして様々なお話をお互いに展開していった。
もともと出会いは2013年、NOSIGNER 代表の太刀川英輔さんにご紹介いただいたのがきっかけだ。
矢島さんの話によれば、「人や環境に配慮したモノづくりをしていきたい」といった想いを太刀川さんに話していたところ「それならピッタリの会社がある」太刀川さんからと大川印刷を紹介されたとのことだった。
とてもうれしいエピソードだ。
まず最初のお仕事は「桜の木のはさみ」の取扱説明書だった。
当時はまだカーボンオフセットを行なったCO2ゼロ印刷ではなかったが、石油系溶剤を全く使用していないノンVOCインキで印刷させて頂いた。全ての化学物質過敏症の方々の問題を解決できるわけではないが、影響を少しでも抑えていこうという考えに矢島社長にも共感して頂いた。
その後も印象的なお仕事が続き現在に至っているが、何と言ってもお互いに思い出に残る仕事となったのは商品カタログのお仕事だった。
ビオトープGA-FS コットンという、FSC®森林認証紙のなかでも独特な風合いの紙を用い、朱色の印象的なロゴを印刷。そしてその小冊子を綴じる綴じ方は、赤い糸を使い着物の帯留めの結び方で結ばれている。
社会の要請に応えることがますます増えてきたことなどが語られた。
商品カタログ
その後の対談では興味深いお話の数々を聴くことができた。
美しい社会で生きていきたい~ご機嫌に生きる
「美しい社会で生きていきたいのが私の願い」と矢島さん。
「一人ひとりが幸せに暮らせていないから現在様々な社会問題がある。私はご機嫌に生きていきたい」とも。
みんながご機嫌で生きることができたら互いの気づ付け合いもなくなっていくだろう。
伝統産業や文化は人々にやさしさをもたらす。自分に、そして他者に優しさをもたらす。
いつもより心地良さを感じること。スマホから離れて。スマホでは体験できない、感じることができないものを子供たちにも感じさせてあげられたら社会が変わっていく。
そんな願いの奥底に社会問題の解決の熱意が感じられた。
自分が何時間寝たらご機嫌か?
それが仮に8時間だったとすれば24-8=16時間 16時間の時間の使い方を考える。
その16時間の中で「これは費やすべきではない」「費やしてでもやるべきこと」を取捨選択していくことになる。でもそれは単純なことではなく、従業員さん全員で話し合ったり、あえて別の人にやってもらったりと他の人の意見や考え方も取り入れていくことが重要だということだ。
弊社などがまさにそうだが、その人にしかできない仕事を作ってしまったり、先輩社員が若い人に仕事を渡さなかったりと言うことが起きていることがある。これは正に、そのことによって仕事にムリ・ムダ・ムラがっ生じてしまう。そしてそれが個々のワクワク感につながらない状況をつくっていく可能性があるということだろう。いつしか「働く」が能動的なものではなく、やらされ感を伴ったものに変わっていく。
「働く」の語源には諸説あるようだが、以前確か田坂広志さんが本で述べられていたことを、ここでもお話した。「傍を楽にする」と言う考え方だ。「働く」とは何も「食うために金を稼ぐ」と言ったことではなく、他者を楽にする、他者のお役に立つ、と言うもの。もう一つ私が紹介した話は、いつも講演でも話していることだが、「人間にとって究極のしあわせは四つ」と言う話。すなわち①人に愛されること、②人のお役に立つこと、③人に褒められること、④人に必要とされること。①いがいの②~④は全て働くことによって得られるしあわせなのだ、と教えてくれたのは日本理化学工業の故大山会長だった。
仕事にポジティブになれないのはなぜか?
これらの話を受けて社員さんからは「ポジティブに働くためにはどうしたら良いか?」といった質問があった。その問いに対しての矢島さんの答えは「その段階ではまず仕事に向かう状態になっていない」というものだった。「生きる」中での「仕事」「働く」を考えれば、そして自分の人生の中での「働く」に使う時間の使い方を考えれば、それを自分なりにどのように楽しんだら良いか、創意工夫するのが当然だろう、という考えだと感じた。
「ワクワクしないのはその先の未来が見えていないから。」
なぜ仕事にポジティブになれないのか?ワクワクしないのか?
それはその仕事がどのよう、そして何を社会や他者にもたらすかということをそもそも知ろうとしていないのではないか。そのことを意識しないでワクワク感もポジティブな働き方もないだろう。そんなことをつくづく感じた。
「ワークライフバランス」の考え方がそもそも違う
「ワークライフバランス」という言葉が使われるようになって久しい。
巷では働く時間を短く、自分の時間を長く、といったところがワークライフバランスの話には多い。
ところが矢島さんも私もそれとは違った感覚を持っている。
日本の「公園の父」と言われた造園家で投資家の本田静六は「人生の最大幸福は、その職業の道楽化にある」と言ったそうだが、正にこのことと通じている。仕事の先のワクワクする未来が見えていれば仕事は楽しくなるはず。ワクワクする未来を創れるのであればその仕事、職業は楽しくなる。
大川印刷への期待
大川印刷で印刷するなら!といった大川印刷ならではのこだわり切った印刷をして欲しい。
世の中のモノづくりで単に「安いだけ」ものだったらならなくなってもいいものかもしれない。
そうではなく大切にされるものを作っていって欲しい。
想いや哲学、思想を受け継ぐ。
技術を教える以上に、そして結果(出来上がり)以上に「想い」を伝える。
大川印刷の印刷には想いがある。
会社は我が子、経営は子育て
矢島さんは会社を起業して以来、「会社は我が子、経営は子育て」と思い経営してきたそうだ。それも弊社が「会社は家、従業員んさんは家族」といっていることと似ているが、中身はかなり違う。
同じ子をみんなで育てているからこその感覚。大切にしなければいけないことがそこにある。
「従業員さんはみな同じ想いを持ってくれるように、そのような理念を共有している。自分のどこかに会社の理念を共有している。」と矢島さんは語っておられた。そして続ける。
「技術の前に想いがある。そして想いと事業の一致が重要。大川さんが語っていることそのものが『哲学』
哲学は会社が自然と発するエネルギーとなります。」
う~ん、深い。
40分程度の対談だったが、実にいろいろ考えさせられる対談だった。
対談後、印刷を担当している社員さんと矢島さんのトーク、そして社員さんからの質問に答えて頂く時間を経て、最後に記念撮影。
これはありそうでなかなかない企画。
従業員さんのほぼ全員が参加し、自社のお客様の社長さんと社員さんが話をし合うのだから。
本当に有意義な時間だった。
カーボンオフセットと印刷。伝統と革新。これからまだまだ道のりは続く。
おわり