東京都港区白金のNBFプラチナタワー10階スタジオにて、2022年4月12日、第94回監査役全国会議が完全オンラインにて開催された。コロナウイルス感染拡大の影響により、前回第93回に続き、今回も完全オンラインでの開催とのこと。
今回のテーマは「サステナブルな経営と監査役等への期待」。
SDGsの認知度が上がり、監査役の方々の間でも「サステナブル経営」といった視点も徐々に注目されてきているようだ。
全体のプログラムは以下の通りだった。
夫馬 賢治 氏による講演 (㈱ニューラル代表取締役 CEO)
第一部 サステナビリティの歴史
第二部 サステナブルな時代の経営とリスク
ディスカッション
テーマ1 「中小企業におけるサステナブル経営」
小樽商科大学大学院商学研究科 准教授 泉 貴嗣氏
㈱グッドパッチ 常勤監査役 佐竹 修氏
㈱大川印刷 代表取締役社長 大川 哲郎
ディスカッション
テーマ2 「サステナブルな経営の観点から働き方の変化にどう向き合うか」
森・浜田松本法律事務所 弁護士 荒井 太一 氏
Zホールディングス㈱ 常勤監査等委員 臼見 好生氏
三菱商事㈱・横河電機㈱ 社外監査役 高山 靖子氏
ライブ配信限定企画 「モノ言わねばならぬ社外監査役のケーススタディ 〜「勇気」がガバナンスを守る〜」
小樽商科大学大学院商学研究科 准教授 泉 貴嗣氏
各自自己紹介の後以下のようなテーマでディスカッションが行われた。
1.サステナブル経営の在り方、イメージ
ロシアとウクライナの戦争が始まってから特に「サステナブルとは平和」とつくづく感じるようになった。「サステナブル経営」とは正に「平和を創出する経営」であり、全ての企業に求められるものであると思っている。そのような話をさせて頂いた。
佐竹氏からは「執行側は目の前のことで忙しいので、自分がやはりESG、それからSDGsも活かしながら会社を前進させる、アクセルを踏み続ける、取組を続けていかなければいけない立場なのではないかと感じています。」といったお話があった。
2.サステナブル経営のための個別の取組
パタゴニアさんと初めて取引する際のエピソードをお話させて頂いた。
もうかれこれ10年以上前のことだが、パタゴニアさんとのお取引の話が進んでいくうちに、用紙メーカーの工場を視察する話になった。静岡県までいって工場の視察に同行した。
そこでパタゴニアさんが行なったのは工場責任者に対するインタビューだった。
「御社の環境に対するポリシーは?」との質問だった。
それ以来弊社では、自社のサプライチェーンにおける責任に対する意識が向上した。
佐竹氏からはSDGsやESGに積極的に推進されている団体や企業に、無償のデザインサービスで支援しようではないかとプロジェクトを企画。70社以上から応募を受け、経営会議でこれらの応募を審査し、フードロスの削減を事業としている企業のデザインを支援した例が紹介された。
3.監査役としてどうあるべきか
情報が氾濫している昨今、何が正しい情報なのかが非常にわかりにくくなっている。監査役から正しい情報に基づき、要所要所でブレーキとアクセルの踏み分けをアドバイスしてもらえると良いと思った。
佐竹氏からは「ガバナンスの観点からすると、船長である社長よりも、船のより高い所からより先を見てという視点を持つことが重要な役割ではないか」といったお話が頂けた。
持続可能な経営は持続可能な社会や地球が前提である。だからこそ経営の視点にサステナビリティが必要であることは言うまでもない。
しかしながら、これまで経済と環境はトレードオフであるといった考え方が主流だった。
現代は気候危機が切迫した問題となり。実感を伴う課題となり、サステナブル経営が注目されているのであろう。
気候危機は地球全体の問題だからこそ、全ての企業の問題でもある。
今、全ての企業がサステナブル企業になる時代になったと言えるであろう。
おわり