熊本県SDGs登録は何と1,600者を超える
熊本県ではSDGsに積極的に取り組む企業や団体等を後押しし、県内における取組みの裾野を広げるため、「熊本県SDGs登録制度」を創設している。第3期登録申請の受付を令和4年4月に実施したところ、第1期登録(442事業者)、第2期登録(570事業者)を上回る、約600事業者から申込みがあり、今回で累計1,600者を超える登録となった。この数は他の都道府県の同様の取り組みと比べても、大変多い数字になると思う。ちなみに長野県が長野県SDGs推進企業登録制度で1,492者(2022年4月時点)、神奈川県のかながわSDGsパートナーが802者となっている。内容は異なるが関西SDGsプラットホームの登録者が1,500団体を超えているそうなので、それらと比べてもトップクラスなのだと思う。
登録企業の取り組み推進につながる講演を
今回、第3期の登録証交付式を実施するにあたり、県内経営者がリアルで200名程度、その他オンラインでも多数参加するとのこと。
これら事業者の取り組みのレベルアップと県内におけるSDGsの更なる推進につなげることを目的に講演を開催することになり、熊本県立劇場 コンサートホール(熊本県熊本市中央区大江2丁目7番1号)を会場に開催された。
講演内容は登録された企業・団体等におけるSDGsの更なる推進や実現に向け、企業におけるSDGsの推進と実践、経営における考え方や新たな視点など、登録事業者の取組みの深化につながるヒントとなるものを、とのご依頼を頂いていた。
とても大きな会場だった。
プログラム
当日の流れは以下の通りだった。
開会
熊本県 田嶋徹副知事挨拶
登録証交付(代表20社)
全体写真撮影
講演会
閉会
登録は「終わり」ではなく「スタート」
全国様々な地域で自治体やNPO、金融機関などが中心となり、数多くのSDGsの取り組みが進んでいることは喜ばしいところではあるが、中には「SDGs宣言や登録ができたら安心してしまい、その後あまり活動が進んでいない」といった企業も少なくないと聞く。そのため、この熊本でも「登録は終わりではなく、正にここからスタート」といった話をさせて頂いた。
SDGsは「やるもの」ではなく、「ゴール」「解決すべき課題」
色々なところで経営者の方々とも話をしていて違和感を感じるのが「SDGsやってる?」「SDGsってやると儲かるの?」といった言葉に出てくる「やる」という言葉。
SDGsは「やるもの」ではなく、「目指すべき、達成すべきゴール」であり「解決すべき課題」であると思う。
そんな思いで、地域の中小企業や団体にとって、身近な課題解決を実行していくこと、それを本業やビジネスで解決していくことが重要であることを、事例を交えてお話させて頂いた。
「浸透」ではなく「共感」「共有」
SDGsの講演の際、どこでも必ずと言っていいほど質問を受けるのが「どうやって社内浸透をしたらいいのか?」といった質問だ。
このご質問に対してはバッサリ、「浸透という考え方が良くないと思います」とお答えしている。「浸透」ではなく「共感」「共有」が重要なのだ。
かれこれ20年ほど前、コンサルタントの横塚雅章氏に教えて頂いたことで、いつもお話させて頂いていることだが、「成果の限界」は以下のように様々な限界によって引き起こされる。でもその大本は「興味関心の限界」だ。
成果の限界
↑
行動の限界
↑
思考の限界
↑
情報の限界
↑
興味・関心の限界
なぜ成果が上がらないのだろうかと右往左往するのだが、結局のところ、
そもそも社員さん達に興味関心を持ってもらえてない、持たせることができていない、といったことが少なくないことに、ある時気が付いた。
いくらトップダウンで「浸透」させようと思っても、そもそも社員さんたちに「共感」が得られていなかったり、きちんと問題や課題、そして情報の「共有」ができていなければ始まらない。
「浸透」の前に「共感」して動かない限り、それは単なる指示・命令に従っているだけで「自分事」にはならない。だから浸透など始まらないのだ。
ビジネスで社会課題解決を行っていくために
本業を通じたSDGsの課題解決、言い換えればビジネスで社会課題解決をしていく上で、その活動や行動が魂の入ったものになるか?ならないか?は、課題解決に取り組むひとり一人の意識にかかっていると言って良いだろう。魂が入っていない取り組みや姿勢は、本当に困っている人たちにとって失礼なことになる。あくまでも虚業ではなく実業で社会課題解決を行っていくのであれば、自分事として課題当事者の立場に立った考えや取組が必然となる。
このあたりも前述の「SDGs、やってる?」派には学んで欲しいところだ。
そんなこんなの60分の講演、みなさん、ありがとうございました。
講演や工場見学のご依頼、ご相談はお気軽にどうぞ