朝6時10分集合。倫理法人会さんの朝は早い。会場である新横浜グレイスホテル5時50分頃到着すると、既にリハーサル中。
倫理法人会での講演はこれで確か二回目。リハーサルからの参加は初めてだ。
リハーサルが終わり参加者が集まり出すとおよそ50名の参加者。予想以上に多くの人がお越しになられた。本日のお題はこちら。
「中小企業が活躍する新しい時代のSDGs経営」
緊急事態宣言解除後、講演依頼が続いているが、やはりSDGsに関するご依頼が多い。現在も毎週何らかの講演が入っている状態だ。
だが皆同じ話ではなく、中小企業経営者や自営業の方々も多い倫理法人会の皆さんには、今回のタイトルで中小企業こそが、皆さんこそが活躍する時代について話をさせて頂いた。
講演後のフォローアップも含め、お伝えしたこと、更にもっと伝えたかったこと、思っていることをお伝えしたいと思う。
講演では現在の地球環境が置かれている状況についてまず考えて頂き、その後なぜこのような取り組みを大川印刷が進めていったのか?そして大川印刷の事例を紹介し、社会課題解決を軸に中小企業が活躍する姿をイメージて頂いた。そこには「地域企業」と言う考え方がある。これは講演ではあまり触れなかったのでここで補足しておきたい。
「地域企業」が活躍するポイント
「地域企業」とは地域に根差し地域に貢献する企業のことで、規模の大小には関係ないが、その多くは中小企業だ。私が知る限り横浜市で経済政策課長、経営支援課長を務められた吉田正博氏が私たち中小企業経営者に話してくださったのが最初だった。
その後、この考えに共感していることを吉田氏に話したところ、「どうぞ大いに使ってください!」と言って頂き、今も事あるごとにこの話をさせて頂いている。
この「地域企業」が活躍する理由。そのポイントはいくつかある。
1.地域や地域の課題を良く知っている
最近はSDGsが流行語のようにもなり、気軽に「世界の問題解決」といった話をよく耳にするようになった。
しかしながら、本来の社会課題解決をしようにも地域や社会の課題そのものをよく理解していないといけない。
ある地域では小さな町なのにグローバル企業が地域に降りてきて地域貢献を行っている。例えば具体的には認知症予防のセミナーだ。
その他にも上場企業が小さな町に降りてきて活動しているケースもある。
ご担当者たちと話したことが何度かあるが、それぞれ「私たち大企業でも地域のことはわからない」とおっしゃっていたのが印象的だ。
すなわち社会課題解決をする、その基本となっている地域課題について、大企業はわかっていない場合もあるということだろう。そこで「地域企業」の出番なのだ。
2.地域のネットワークがある
2番目は地域の中でのネットワーク力。これまでの活動の中で取引先はもちろんのこと、区役所や市役所の担当者、町内会や商店街、更に小学校や小学生までウチの会社のことを知ってくれている、なんて地域企業はたくさんあるだろう。近隣のマンション住民などまで知っているケースも少なくない。近所からパートさんが働きに来ているからだ。当たり前な話だが、地域の課題解決を行っていくのに様々なステークホルダーの協力を得ていくことは極めて重要だ。そんな意味からも地域企業は頼りにされるべき存在、頼れる存在だ。
3.地域から出ていかない。
これはかつてあるNPOの代表に質問した時の話だ。大変活躍しているNPOの代表に対し「NPOとして企業に対して最も求めるものは何か?」と質問させて頂いた。
その答えは「これまで同様、地域から出ていかないで欲しい」だった。
これは意外な答えだったが、連携し合う上で、支え合う上で、信頼関係を続ける上で最も大切なことがこのことなのだと思った。
「SDGsで企業のイメージアップ!」の前に考えるべきこと
以上のような理由から「地域企業」、特に中小企業は活躍するチャンスがまだまだあると思っている。
更に大企業と地域企業(中小企業)との連携はもっともっと行われるべきことに、大企業こそ気づいて欲しいと思う。
「企業のイメージアップにつながるSDGs」なんてタイトルのセミナーをいまだに見かけることがあるが、そんなことを考える前になすべきことは自社事業を通じてどのような課題にアプローチするのか?を検討すべきではないか。そこで足元にある地域や社会の課題解決を、地域企業と一緒になって行えば、地域からの共感も得られ、情報も得られ、一石二鳥の取り組みになる。
講演後倫理法人会さんと言うのは温かいもので、感想を一人ひとりカードに書いてくださった。