慶應義塾大学大学院 SDM研究科 附属SDM研究所 地域資源利活用ラボ様の制作物「あなたも地域資源マスター!地方想生アイディア発想ゲーム-横浜市中区編-」を再生可能エネルギー100%で印刷・制作させていただきました。
カードを1枚引くごとに、横浜市中区の文化や魅力を再発見し、アイディア発想のきっかけをくれる、ひらめきと想像力を育むカードゲームです。このゲームを体験したら、きっと自分の足で横浜市中区を巡りたくなりますよ。
慶應SDM地域資源利活用ラボ・研究員であり、横浜コミュニティデザインラボサポーターの永井楓様にコメントをいただきました。
①この冊子にまつわる取り組みを教えてください。
私たちは、これまで地域愛着や地域資源の再発見に関する研究を行ってきました。その中で、慶應義塾大学大学院 SDM研究科で教えられている手法(強制連想法)を活かして、使用者が自分で地域を学び地域資源を再発見し、地域をより好きになるきっかけを作るツールを製作にすることになりました。
そこで誕生したのが「地方想生アイディア発想ゲーム」です。(原作:東京都文京区を舞台にした「地方想生」(作者:株式会社遭遇設計 広瀬眞之介さん))
地域活性を目指す目的が示された「勝利条件カード」に合わせ、分類別に分けられた地域の資源を紹介する「素材カード」同士を掛け合わせて、アイディアを発想するゲームです。このゲームを体験することで、「地域に対する愛着度の増加」「 地域資源の自覚と活用」「 目的設定の重要性を認知する」「 地域を詳細に知る機会を促す」効果を見込んでいます。
このゲームは、横浜市中区にまつわる方々と一緒に制作してきました。製作には、NPO法人横浜コミュニティデザイン・ラボ、Yocco株式会社、横濱式はいからサービス、山手縁乃庭の皆様にご協力いただきました。デザインは、新村浩子さん。印刷は、大川印刷さまにお願いをいたしました。そして、カードに使われた写真やテキストチェックも横浜市中区内の企業や団体、個人の皆様に依頼し、約20団体※1に協力を得て制作をいたしました。
また、今回の「あなたも地域資源マスター!地方想生アイディア発想ゲーム-横浜市中区編-」を製作する上でこだわった点は、3つあります。
①色弱者への色使いの配慮
多様な人が使用できるように試作品に「色弱疑似フィルタ・バリアントール」※2というゴーグルを使用して色弱者の色の見分け方を疑似体験して完成品の色使いに配慮を行いました。御社にてご提案いただき、実際に色弱疑似フィルタ・バリアントールをお借りして確認を行いました。
②説明書のwebサイト化
紙の使用を減らし、最新の情報にも更新でき、かつプレイヤー各自の手元でゲームの使い方を確認ができるよう変更を行いました。
③素材カードの枚数バランスの変更
これまでは、素材カードの各ジャンルの素材カードの枚数が均等になるようにしていましたが、実際に横浜市中区にどのような地域資源があるのかをリサーチして、どの地域資源を素材カードにするか検討を行った際に「ジャンル別に素材となりうる量の差異がある」事に気づき、中区編では地域性を反映するために素材カードの枚数バランスの調整を行うことにしました。
最後に、実は、「地方想生アイディア発想ゲーム」には今回製作した中区編の他に、「埼玉県飯能市編」もあります。
横浜市中区と埼玉県飯能市は、元町・中華街駅(横浜高速鉄道みなとみらい線)と飯能駅(西武池袋線)で起点・終点駅同士であり、2014年3月から横浜市中区は埼玉県飯能市と友好交流協定を結んでいます。
このゲームを機に自分の住んでいる地域を改めて振り返ったり、違う地域にも興味を持つきっかけになれば幸いです。
※1 製作にご協力いただいた約20団体(以下、敬称略。五十音順(アルファベット順)。
Café この前の続き、Canvas、NPO法人 HamaBridge瀆橋会、アオキカク、赤い靴記念文化事業団、岡本千尋、株式会社 NDCグラフィックス、公益財団法人 横浜観光コンベンションビューロー、三溪園、シネマ ジャック&ベティ、島青志、ジャズ喫茶ちぐさ、てまわしオルガンKINO、フクゾー洋服店、横浜マリンタワー、横浜市にぎわいスポーツ文化局スポーツ振興課、横浜市環境創造局 南部公園緑地事務所 都心部公園、横浜市交通局総務課、横浜市港湾局賑わい振興課、横浜中華街発展会協同組合、個人提供複数名。)の皆様、ありがとうございました。
※2 「色弱疑似フィルタ・バリアントール」は、伊藤光学工業株式会・橋技術科学大学 中内茂樹研究室・高知工科大学 篠森敬三研究室で共同研究開発されたものであり、正常色覚者が使用することで、識別が難しい配色を精度よく見つけ出すことができるといわれています。
※3 本研究は、科学技術融合振興財団助成金による助成を受けたものです。
②数ある印刷会社の中から大川印刷を選んでくださったのはなぜですか?
御社は、社会的課題を解決できるソーシャルプリンティングカンパニーとして、持続可能な社会の実現をめざして活動し、環境印刷にも幅広い見識と実績があります。
長く使っていただけるような質感で製作できることを条件に、できるだけ環境に配慮した印刷をしたいと思ったことと、カードゲームの舞台である「横浜」の企業で印刷をしたいという想いがあり、御社にお願いをさせていただくこととしました。
③実際に依頼してみてどうでしたか?
すぐにカードが千切れたり折れ曲がったりしないようにしっかりとした強度のある出来上がりで、カードを手にした時に手を切ってしまうようなこともない触りごこちや、文字が見やすいようなマットな質感もとてもよく仕上がっていました。
私たちとしても多くの人に遊んでいただけるようにインクルージョンを意識して製作したいと思っていたので、御社にて「色弱疑似フィルタ・バリアントール」をご提案いただき、色弱の見え方をする方でも使っていただけるように色使いに関するアドバイスもらうことができて大変助かりました。
子どもからお年寄りの方まで幅広く親しんでいただけるような仕上がりとなりました。親身に相談に乗ってくださりお願いしてよかったと思っています。丁寧かつ迅速にご対応いただき、安心してお任せすることができました。
【担当者・梶原からのコメント】
この度は弊社で作成いただき、ありがとうございました。パッケージの仕様では『キャラメルボックス型』から、今回の『N式サイド差し込み型』をご提案しました。ゲームカードが収納しやすく、開けるのが楽しくなるようなパッケージです。箱の中面にルールを記載していただけたので、ルール用紙を作る必要もなく、すっきりコンパクトにできました。
また、カードの配色検討をする上で、メディア・ユニバーサル・デザインを知っていただくきっかけになりました。これから多くの方がこのカードを使ってゲームを行うごとに、創生アイデアが増えていき、新たな地方発展のヒントになると思うと、とてもワクワクします。