雨を運び、命を育て、大地をめぐる「風」、そしてすべての命を目覚めさせる「光」。「風と光」様は国境や貧富の差、人種の隔たりを超えて私たちに恵みをもたらし続ける存在になりたいとの想いで環境や地域に関わりながら「安心・安全」な自然食品やオーガニック食品をプロデュースされています。
良いものを伝えるために
「良い商品なのにうまく伝わらない。パッケージを一新し、商品の良さをもっと伝えたい」 風と光の代表、ご担当者様が弊社にご来社いただいたのは2014年4月のことでした。 ブランド力の強化という大きな課題を踏まえ、横浜を拠点に国内外で活躍されるNOSIGNER株式会社にブランディング、グラフィックデザインを依頼し、開発が始まりました。
サイコロ型のパッケージのヒミツ
当初のパッケージデザインは、四角いフィルムに封入された商品に帯を巻くスタイルでしたが、原材料名などの他にも、生産者様の想いやレシピなど、伝えたい情報が沢山あります。その情報がきちんと伝わるよう、パッケージの面を表示スペースとして活かす、サイコロ型の形状が誕生しました。まず、素朴で優しいグラフィックに惹かれて手に取ってみると、窓から見える素材、レシピ、品質などが手の中で次々と見られるようになっています。
開封の方法にも工夫をこらしました。「ピリッ」と心地よく開封できるように何度も図面を書き直し、試作しました。蓋をあけると、そこにも商品のシリーズの説明や会社のコンセプトが現れるようにして、商品にこめた想いが伝えたい場面で展開されていくよう考えました。
印刷へのこだわり―「活版でやりたい!」
微妙な印刷の濃淡やかすれ、そして味のある凹凸。オーガニックな商品の素朴で温かなイメージを表現するのに、活版印刷※を採用しています。
今回のパッケージデザインはまさにその古くて新しい表現がふさわしいのではないかと、お客さまにご提案いたしました。 生産性が高いとは言えない印刷方法について、お客さまのご承認を頂けるかどうかはその後の開発を左右するチャレンジでした。試し刷りを見て、「素晴らしいです!」の一言をいただくことができ、2014年の秋にようやくパッケージが完成しました。
※古くからある印刷技術で「活字」とよばれる鉛でできたちいさな“はんこ”を組み合わせた版の凸部分にインクを付け、紙に転写する印刷方法です。 紙に鉛の凸部分が押し付けられる時の圧力で独自の凹凸ができ、版についたインキの量などがその都度変化するので仕上がりに個性や独特の風合いが出るのが特徴です。
古くて新しい…新たな価値の創造
リニューアルされた商品は、6ヶ月分の在庫がわずか1ヶ月で完売になったそうです。 今回の開発は良い物を知ってもらいたいというお客さまの想い、活版印刷やパッケージ制作にご協力くださったパートナー企業の想いを紬いで、1円でも安ければいい、1日でも早くできあがればいい、といった価値観とは別の世界=新たな価値を提供することができました。 現在、ギフト商戦で使用するパッケージなどのアイディアも検討しています。これからもお客さま、デザイナー、印刷会社とパートナーシップを育むことで、生活者の潜在的なニーズを的確に捉えた良い製品をつくっていきたいと思います。